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コンピュータを使った新しい機械・器具の開発

竹原 昭一郎(機能創造理工学科・准教授)

2014年
出典: ソフィアサイテック vol,25

竹原 昭一郎(機能創造理工学科・准教授)


 マルチボディダイナミクスを中心とした機械力学に、制御工学・感性工学を取り入れることで、新しい機械・器具の開発を進めています。マルチボディダイナミクスとは、多くの部品がお互いに関連した複雑な動きをするシステムの運動解析を扱う学問です。私は、テザー・車両・人体という3 つのアプリケーションを軸に研究を行い、各分野の課題に取り組むことで、学問的な深掘りを目指しています。

テザーを使ったシステムを研究

 テザー(Tether)とはワイヤーロープやひものことを指し、このような部材の含まれる系の動力学解析について研究しています。大変形・大変位を含むシステムにおける連成運動のメカニズムの解析や、宇宙空間における制御システムの提案を行い、実際にロケットを使った宇宙実証実験にも参加しました。直近の研究テーマでは、テザーを利用した宇宙用モビリティシステムの提案を行っています。本システムは、宇宙船内などの無重力空間での使用を想定しており、巻き取り制御などの興味深い課題に取り組んでいます。また、エレベータのロープとプーリ巻き取り機の解析など身近なシステムについても企業と共同で研究を行い、理論と実践の両面から研究を発展させていきます。

人と乗り物の相互作用に注目

 自動車、二輪車、鉄道、そしてセグウェイなどのパーソナルモビリティのモデリングや運動解析を行っています。また、省エネ性能や運転者のスキルの判断基準などの研究や、感性工学を応用し、人間の快・不快といったものを工学的に科学しようと試みる快適性の研究も行っています。
 省エネへの需要の高まりを受け、現在、車両の小型化が進められています。車両の小型化が進むと、車両の重量と乗員の重量の差が小さくなり、乗員の行動が車両に与える影響が大きくなります。また、高齢化が進むにつれて、安全性についても従来とは異なる基準が必要になります。そういった状況に合わせ、様々な車両の特性と利用者の多様性の相互作用に特化した統合的な研究を進めていきます。

目に見えない人の筋肉の働きを調べる

 人体については、主に筋骨格モデルを用いて、筋負担量などの生体力学的な研究を行っています。筋骨格モデルとは、筋骨格系の主に力学特性を数式化したものです。ジャンプなどの人の運動解析や、電動自転車のアシストが、具体的にどの筋肉の働きを助けているのかなど、機械の人体への筋負担の低減を定量的に分析しています。筋肉の働きを見える化することで、将来的には福祉などにも役立てたいと考えています。

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