上智大学理工学部
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研究・キャリア高校生に送るメッセージ 35 高校1年の頃は文系志望でした。高3になるときに理系を選んだ直接の理由は、数学や物理・化学の勉強をそこで止めるのが惜しくなったからです。その先に見える景色をもう少し追ってみたくなりました。もっとも、小学生の頃から電気工作や化学実験が好きだったので、元々その素地はあったのでしょう。追ってみて、見えた景色も見えなかった景色もありましたが。数十年前と比べて飛躍的に進歩した今の科学技術でも、現実は分からないことだらけです。分からないなりに考えた自分のアイデアを実験で確かめる作業ができることが理工系の楽しいところです。思いどおりの結果でなかったら、明日はどんな実験をすれば良いかまた考える。昨夜思いついたことを今日実験する。化学の場合そのスパンが短いのが私の性に合っています。一つめは現実的な(夢のない)アドバイスをします。理工系へ進学するのなら、理系科目はなるべくかたよりなく学習することをお勧めします。大学の理工系学科に入学したあと苦労しないためにも。二つめは本を読む習慣をもつことです。様々な情報がネットで得られる時代にこそ、断片的なウンチクではない、体系的な知識を習得する術を若いうちから身につけてほしいです。数学と理科(物理・化学)が得意で面白く、それを専門として活かしたかったのが一番の理由です。高校生の頃は、当時話題になり始めた地球温暖化問題や、子供の頃から好きだった鉄道や自動車などの乗り物に関われる学部・学科に進学しようと決めていました。したがって、理工系以外の選択肢は一切考えませんでした。今振り返ってみると、今の専門は当時興味のあったこととだいたい同じです。理工系には2つのステップがあります。まず、3年生までで既知の理論を学び、それを実験で確かめますが、すぐに正解が分かる面白さがあります。次に、4年生や大学院の研究では、まだ誰も正解を知らないことを明らかしようとしますが、難しい分、良い結果が得られた時はたいへん嬉しいものです。これらの過程で、不確かな情報に惑わされず、科学的に物事を捉える能力が身に付くのが良いところです。高校は受験勉強や部活動で非常に忙しい時期と思います。勉強も量をこなすのに精一杯でしょうが、他人よりも少し掘り下げてものごとを捉える癖を付けて欲しいと思います。例えば、数学や物理の公式を丸暗記するのではなく、何故そうなるのかを考えてみる、などです。理解が深まれば、興味もさらに強くなります。また、気分転換に科学技術に関する簡単な英文記事を読んで慣れておくのも良いでしょう。小学生のころからモノを作ることが好きで、紙工作、プラモデル、ラジコン、電子工作などを頻繁にしていました。その過程で複雑に動く謎が解けたり、難しかったものが完成したときの喜びが、理工系に進むきっかけになりました。将来は世界的に有名な映像音響機器メーカーのS社に就職して世界中で使われる電気製品を作りたいと思い理工系の大学に進学しました。一般社会にはない設備・機器が多数あり、個人ではできない実験・実習・研究をすることができます。それによって自分の専門性が磨かれエキスパートに成長できることが最大の魅力です。専門技術を持つことは、就職に困らないだけでなく、小さいながらも社会を支える礎のひとつになれる満足感があります。目標を定め今何をすべきかを自分で考える習慣をつけることです。高校球児は甲子園を目指して練習しますが、自分で考えず監督に言われてバットをひたすら振るだけでは試合に勝てません。科学技術の分野も同じです。暫定的でも構いませんので目標を定め、それに必要な勉強は何なのかを自分で調べればやる気も出ますし、それを継続することで自然に実力がつくと思います。理工学部物質生命理工学科長鈴木 教之 教授 理工学部機能創造理工学科長宮武 昌史 教授 理工学部情報理工学科長高橋 浩 教授 Faculty of Science and Technology1. 高校生のときに理工系の大学に行こうと思った理由2. 理工系の良いところ、楽しいところ3. 今(高校生)のうちからしておいた方が良いこと1. 高校生のときに理工系の大学に行こうと思った理由2. 理工系の良いところ、楽しいところ3. 今(高校生)のうちからしておいた方が良いこと1. 高校生のとき理工系の大学に行こうと思った理由2. 理工系の良いところ、楽しいところ3. 今(高校生)のうちからしておいた方が良いこと

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