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理工学部・大学院理工学研究科からのお知らせ

物質生命理工学科の近藤次郎助教の研究成果『抗生物質に対する薬剤耐性メカニズムを分子レベルで解明』が11月23日付のアンゲヴァンテ・ケミー国際版(オンライン版)で発表されました。

物質生命理工学科の近藤次郎助教の研究成果『抗生物質に対する薬剤耐性メカニズムを分子レベルで解明』が11月23日付のアンゲヴァンテ・ケミー国際版(オンライン版)で発表されました。

本研究の要点
・ アミノグリコシド系抗生物質の作用点であるリボソームの活性部位の立体構造を観察
・ なぜ耐性菌のリボソームには抗生物質が作用できないのかが判明
・ なぜ細菌は生命を維持しながら薬剤耐性を獲得できるのかが判明
・ 耐性菌にも効く新しい薬剤の設計・開発に結びつく成果

研究成果の概要
上智大学理工学部物質生命理工学科の近藤次郎助教は、ゲンタマイシンなどに代表されるアミノグリコシド系抗生物質に対して細菌がどのように薬剤耐性を獲得するのかを分子レベルの視点で明らかにしました。この成果は11月23日付のAngewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー国際版)オンライン版で発表されました。生物はリボソームという分子を使ってタンパク質を合成します。アミノグリコシド系抗生物質はリボソームの活性部位に作用し、細菌に間違ったタンパク質を作らせることで殺菌効果を示します。これに対して細菌は、リボソームの活性部位を自ら変異させることで薬剤耐性を獲得します。しかしこれは、細菌にとって自身のリボソームの働きを低下させうる危険な行為であり、細菌がいかにして生命を維持しながら薬剤耐性を獲得するのかはこれまでわかっていませんでした。
近藤助教は、リボソームの活性部位の立体構造をX線結晶解析法で観察し、薬剤耐性菌が自身のリボソームの働きを正常に保ちながら抗生物質の作用を免れる様子をとらえることに世界で初めて成功しました。本研究で得られた知見を利用すれば、耐性菌にも効く新しい薬剤の設計・開発が可能になります。

論文名および著者
雑誌名:Angewandte Chemie International Edition(アンゲヴァンテ・ケミー国際版)
論文タイトル:A Structural Basis for the Antibiotic Resistance Conferred by an
A1408G Mutation in 16S rRNA and for the Antiprotozoal Activity of
Aminoglycosides
オンライン版URL:http://dx.doi.org/10.1002/anie.201106084
著者(単著):Jiro Kondo(近藤次郎)
著者所属および役職:上智大学 理工学部 物質生命理工学科 助教
プレスリリース(近藤次郎)