上智大学 高校生のための理工学部ご案内 2020-2021
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齊藤 玉緒 教授研究例細胞性粘菌の子実体の柄細胞に蓄積する有機ハロゲン化合物が細胞性粘菌の生き残りにどのような役割を果たしているのかを理解したいと考えています。細胞性粘菌の子実体に蓄積する有機ハロゲン化合物の生態学的な意義日本最大の高層湿原である北海道サロベツ湿原の泥炭採掘跡地の遷移過程における植物―微生物相互作用の変化を野外調査とDNA解析から明らかにしようとしています。サロベツ湿原の植生回復と土壌微生物の解析奇跡の薬と言われるペニシリンは、人類が初めて見つけた抗生物質です。発見したのはアレキサンダー・フレミング、イギリスの医師であり微生物学者でした。ある日ブドウ球菌を培養しているシャーレに混入した青カビの周りの細菌が死滅していることを発見し、そこから細菌を殺す物質としてペニシリンを見つけ出しました(1928年)。これは、青カビの「ここは私の場所です、近寄らないでください」というメッセージだったのでしょう。このようにカビなどの微生物は様々な化学物質(メッセージ物質)を作って自然環境の中で独自の生き残り戦略を展開しています。現在、医療で使われている薬にはこのような微生物に由来するものが多く含まれています。私たちは、「細胞性粘菌」という土の中に住む微生物がつくる化学物質(メッセージ物質)を通してその生き残り戦略を理解したいと考えています。研究室紹介1細胞性粘菌の細胞を培養するための液体培地です。2細胞性粘菌の作る化学物質が農作物の害虫を寄せ付けないことを発見しました。顕微鏡でその様子を確認します。3細胞培養はクリーンベンチの中での「無菌操作」によって行います。4細胞性粘菌が作り出す化学物質をHPLCによって精製します。アレキサンダー・フレミングを夢見て1234研究室■ 齊藤研究室(物質生命理工学科)27

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