上智大学 高校生のための理工学部ご案内 2018-2019
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研究例食卓にのっている塩(NaCl)は室温では白い固体ですが、約800℃まで加熱すると融けて液体になります。それでは、室温で液状の塩なんてあるのでしょうか?答えは“イエス”です。20世紀の終わり頃に、有機の陽イオンと陰イオンを用いて、室温で液体となる塩「イオン液体」が見出されました。イオン液体は、イオンのみからなる液体であるため静電的な相互作用力が強く、真空下で加熱しても揮発しません。さらに、揮発しない液体なので燃えません。生活環境に飛散しない、繰り返し何度でも使えるという特徴から、地球に優しい“グリーンソルベント”として注目を集めるようになりました。私たちは、自分たちで合成したイオン液体を用いて燃えないLiイオン二次電池の開発や環境負荷の低い高分子合成プロセスの研究を行っています。電子機器や電気自動車の普及に伴い、Liイオン二次電池など蓄電池の需要が高まっています。燃えないイオン液体を用いて安全かつ高性能な蓄電池の開発に取り組んでいます。極限環境下でも使用できる高性能蓄電池の開発セルロースは豊富に存在する天然材料の一つですが、難溶性であり扱いにくい材料です。セルロースを容易に溶解するイオン液体を開発し、ゲルや膜の作製に取り組んでいます。難溶性天然高分子を用いた機能材料の開発藤田 正博 准教授Laboratories研究室紹介研究室1真空下で重合反応を行う器具を用いて高分子を合成しています。2NMR測定によりイオン液体の構造解析や分子運動性を評価しています。3イオン液体を用いて作製した電池の評価をしています。4水や酸素の混入を防ぐため、アルゴンガス中で電池を作製しています。有機イオンの分子デザインから始まる革新的材料開発1234■ 藤田研究室(物質生命理工学科)26

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