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コンピュータネットワークの現在と未来

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出典: ソフィアサイテック vol,23(2012年)

萬代 雅希(情報理工学科・准教授)


 インターネットやスマートフォンは私たちの生活を大きく変えました.遠く離れた人との意思の疎通を可能にし,地球の裏側の相手とのテレビカンファレンスは当たり前になりました.また,これまでに先人たちが経験した膨大な知恵や知識はネットワーククラウド上に蓄積され,必要な事柄を瞬時に検索できるようになりました.スマートフォンを使って,どこでもインターネットにつなぐことができるようになりました.このようなネットワークの進展はもう十分なのでしょうか?私たちは20年後のネットワークはどうあるべきかを考えて研究を行っています.

新しい無線技術を使ったネットワーク

 今後,無線通信を使ったネットワークはますます重要性を増すと考えられます.最近,これまで困難とされてきた一つの周波数帯での全二重無線通信技術が考案され話題になっています.この技術は無線通信の容量向上へのブレイクスルーとなり得ますが,そのポテンシャルを引き出すネットワークの構築法や制御法はほとんど知見が得られていません.私たちは,このような新しい無線通信技術を活用し,省電力かつ高速な無線ネットワーク基盤技術の確立を目標に研究に取り組んでいます.

ネットワークのグリーン化

 これまでのネットワーク技術はスループット(単位時間当たりに伝達できるデータ量)や遅延時間等の性能の向上を目標にして研究開発が進められることがほとんどでした.しかし,環境意識の高まりに伴い,ネットワーク機器の消費電力の低減への取り組みも重要な研究課題として認識されてきています.私たちは,クラウドコンピューティングを支えるデータセンタのサーバ仮想化技術を活用したグリーン化に関する研究に取り組んでいます.

スマートフォンの省電力化,モバイルアプリケーションの創出

 モバイル端末の省電力化も重要な研究課題です.ユーザが意識しないうちにモバイル端末が自律的にネットワークに接続し,必要な情報を集めるような省電力かつ賢い情報収集の方法について考えています.また,このような機構を使った面白いモバイルアプリケーションも考案中です.

大学でのネットワーク研究

 ネットワークの分野では,学術性と実用性とを兼ね備えた研究成果が要求されます.トレンドに流され過ぎず,廃れない基盤技術の確立を目指して,大学ならではの,一歩先を見据えたチャレンジ性があるテーマに取り組みたいと考えています.

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